「気付かずにずっと放置していた油なのに腐ってない!!」
あなたにはこのような経験はありませんか?封を開けて何度か使ったきり、そのままシンク下の奥のほうに仕舞い込んでいたサラダ油。
一生懸命に遠い記憶を呼び覚まし、考える。すると軽く見積もっても2、3年以上は過ぎていることが分かる…いや、分かってしまった。軽い絶望ですよね?
しかし、想像していたよりも状況はあっけないことが多いです。そう、長年放置していたのにも関わらず油は腐っていなかったのです。
油は「腐敗」ではなく「酸化」する
肉も魚も野菜も…私たちが口にするほとんどの食品は腐ります。常温で放置すれば数日で、冷蔵庫に入れれば多少長持ちしてもやがて腐ります。
でも油はどうでしょうか?常温で長いこと放置しても一向に腐る気配はありません。そう、油は腐らないのです。そういう食品なのです。
なぜかと言うと「油には水分が無い」から。「腐る」ためには菌類や微生物の働きが必要ですが、その菌達は水分が無ければ活動することができないのです。
そこで「油は腐らない!?ラッキー♪じゃあ、このいつ開けたか分からない油もまだまだ使えるね(にっこり)」と思われたあなたへ。
ちょっと待ってください、それ危険ですから。油は腐りこそしませんが「酸化」はします。長年放置していた油を摂ると「過酸化脂質」の餌食となってしまいますよ。
酸化した油を摂るのはやめましょう
酸化は腐敗とは違いますが、品質が悪くなるという点では同じですね。(因みに腐敗より酸化のほうがスピードが遅いです)劣化のほうがイメージに近いかも?
油は主に「空気、熱、光」の3つの条件で酸化が進みます。
酸化した油を食べると細胞や血管を錆びさせる原因に。油の成分を変質させ、体に悪い物質を生成してしまいます。
有名なのが「過酸化脂質」です。あなたも聞いたことがあるでしょう。過酸化脂質を摂りすぎると、動脈硬化やがんのリスクが高まると言われています。
すぐに症状は出なくても、毎日蓄積していく過酸化脂質はジワリジワリと体を蝕んでいきます。「酸化してるかも?」と思った油は迷いなく捨てるようにしてください。
酸化した油の見分け方《5つのチェックポイント》
食用油は「生もの」と思って冷蔵庫保存、1~2ヶ月以内で使い切り、揚げ油は1回使ったら捨てる。このことを徹底すれば、極力「酸化した体に悪い油」を摂るリスクを減らすことができるでしょう。
しかし、中には
- 賞味期限が数ヶ月前の油だけど開封してないからもったいない!
- どうしても1回しか使っていない揚げ油を捨てられない
という方もいるかもしれません。
その場合は、せめて油が酸化していないか、初めにチェックされることをおすすめします。ここでは5つのチェックポイントをご紹介しますね。
1、臭い
酸化した油は独特の不快な臭いを発しているのですぐに分かるかと思います。この嫌な臭いは調理中に気分が悪くなってしまう「油酔い」の原因にもなります。
《参考》うぇぇ…気分悪っ!そんな「油酔い」の原因と対策って知ってる?
2、色
「なんだか色が濃くなってきたな…」と思ったら酸化のサイン。大体はじめはどの油も綺麗な淡黄色をしていますが、酸化が進んだ油はだんだん色が茶色っぽくなってきます。
3、味
酸化した油は味も不味いものです。そもそも酸化した油を使った料理は「食べられない」という声多し。折角使った料理でも、一口食べて「なんかおかしい!」と思ったらやめたほうが無難。
4、煙
加熱調理時に通常は出ない煙が酸化した油の場合はひどいことが多いです。これは過酸化脂質の影響と言われています。見た目にも怖い現象なので、チキンハートなあなたは十分お気を付けを。
5、泡
普通の油ではそんなことないのに、酸化した油を揚げ物に使うと尋常じゃないくらいの泡が出ます。まさにビールのよう。これは酸化したときにできる物質で油に粘りが出るのが原因。
油をなるべく酸化させないためには…?
油は「なるべく酸化させない」に越したことはありません。そのためには適切な保存をする必要があります。
未開封だからといって油断は禁物。油は液面と蓋との間に空気が入っているので、実は開封していなくても酸化は進むんですよ!
そういった点を考えると、酸化に弱いと言われるオメガ3系の油(亜麻仁油、えごま油)だけでなく、他のどんな油も冷蔵庫での保存が望ましいはず。
でも冷蔵庫の中に油ばかり入れていられないご家庭も多いでしょう。その場合は熱、空気、光の害の心配がない冷暗所にしっかり保存するようにしましょう。
そして何より早めに使い切ることが大事です。(奥のほうに仕舞い込むと忘れてしまうので、手前の方がいいかもしれません!)
まとめ
腐らなくても酸化が怖い食用油。酸化した油を摂り続けると、やがて体も脳も錆びてボロボロに…。その前に、しっかり油の知識をつけて健康的な「オイル生活」をはじめましょう。