世の中には、通年して症状に悩まされる、好きなものも思うように食べられなくなってしまう厄介な「アレルギー」というものが存在します。
本来は体を守るための免疫反応ですが、免疫バランスの崩れからそれが過剰に働いてしまうことで厄介な症状を次々と引き起こしてしまうのです。
食物アレルギーで特にアレルギーを発症しやすい食品は小麦、乳製品など。しかし、人によってアレルギー反応を示す食品はさまざまで、言ってしまえばどんな食品でもアレルギー反応を起こす可能性があるということ。
そして「魚アレルギー」もそのうちの1つ。今回は魚好きの人はもちろん、そうでない人にもきつい魚アレルギーについてお話します。
目次
魚アレルギーとは?
魚アレルギーは、世の中にたくさんある食物アレルギーの「5%」ほど…と少ないほうなのですが、それでもネットを見ると結構たくさんの方が悩んでおられるなぁという印象を受けました。
その「原因」や「種類」や「症状」について詳しく書いてみますね。
原因は何?
魚アレルギーの原因は、ずばり、魚のタンパク質の「パルブアルブミン」であると言われています。
あとは“魚のコラーゲン”もアレルゲンであるという情報もあり。(むしろ日本人の魚アレルギーの原因は、こっちのほうが有力との説も!)
いずれにせよ、どちらも「ほとんどの魚に含まれている」ものなので、「どんな魚でもアレルギーを起こす可能性がある」とのこと(汗)
アレルギーを起こしやすい魚の種類
「どんな魚でもアレルギーを起こす可能性がある」とはいえ、「特にアレルギーを起こしやすい魚の種類」があります。
サケ、マグロ、イワシ、カレイ、アジ、タイ、タラ、ブリ、サバ
などです。
見てみると…どれも日常的に食べるお魚ばかり(-_-;)
ただ、「どんな魚もダメ…」な人もいれば、「この魚は大丈夫!」な人もいたり、「生はダメだけど加熱すれば平気だった」という人もいて、反応の出方は人それぞれだったりします。
なので、たとえ魚アレルギーでも「全部の魚が食べられない」と決めつけるのは早計と言えます。
魚アレルギーでも大丈夫なもの
魚そのものもそうですが、魚が使われている加工品というのも色々とありますよね。
それらも全部ダメなのかというと…
- ちくわなどの「すり身」
- ツナ缶
- かつおぶしや煮干しのだし
などはアレルギーを起こす心配は少ないのだそうです。
(ただ、粉末のだしをたくさん摂ると反応してしまう人もいるのだとか。)
これらは加熱したりといった加工の段階で構造が少し変わるためだと考えられています。
まぁ人によっては↑のものでも症状が出てしまう可能性も0ではないので、念のため、心配な場合は少量から試してみるといいと思います。
どんな症状が出るの?
魚アレルギーの症状には以下のようなものがあります。
蕁麻疹、かゆみ、唇やまぶたの腫れ、喉の不快感、腹痛、下痢、吐き気、目の充血、咳、くしゃみ、呼吸困難、アナフィラキシー
特に呼吸困難やアナフィラキシーなど、重症になると命に関わる場合もあるので侮れません。
病院での検査について
「自分は魚アレルギーかも…」と心配なら、一度病院で検査を受けるといいでしょう。
何科にかかればいいか迷うかもしれませんが、1番いいのは、やはり専門の「アレルギー科」。
あとは、皮膚に現れるものなら「皮膚科」など、症状に合わせて選ぶといいようです。分からなければ内科でいいみたい。
アレルギーの検査は、基本的には、魚に対するIgEを測る血液検査が行われます。今の時点では「アジ、マグロ、イワシ、カレイ、サバ、サケ、タラ」の7種類の検査に限定されるようです。
あとは、魚のエキスを皮膚に刺したり注射したりして反応を見る検査も。
これらのアレルギー検査をすることで、「食べていい魚、ダメな魚」が分かる可能性があります。(ただ100%確実ではないので過信は禁物ですが…)
魚アレルギーは治るの?
1番知りたいのはココかもしれません。魚アレルギーは果たして治るのか…?
これは、残念ながら「難しい」というのが現状です(-_-;)
なにせアレルギー自体が、人によって症状の出方が千差万別だったりと複雑なものなうえ、中でも「魚アレルギー」は完治しにくいと言われています。。
子供であれば、少量ずつ、徐々に体に慣らす方法や、成長に連れて治るケースがあるようですが、大人の場合は難しいそうです。
とはいえ「治す」とは違うかもしれませんが、一定量までなら症状が出ないこともあるので、それを見極めたり、先に書いたように、検査で「食べられる魚」が見つかる可能性もあります。
まずは自分の状態をよく知ることが大切です。
単なる「ヒスタミン中毒」の可能性
魚アレルギーと勘違いしやすいものに「ヒスタミン中毒」があります。
これは魚のアミノ酸である「ヒスチジン」が、鮮度が落ちることでヒスタミンに変化。それを食べて、体内のヒスタミンが増えることで起きる中毒症状です。
症状が、蕁麻疹、頭痛、吐き気、顔の腫れ…など、魚アレルギーとよく似ているので勘違いされやすいのです。
ただ、はっきり違う点は、ヒスタミン中毒は「誰でもなる可能性がある」ということ。
普段、アレルギーの「ア」の字もない人でも、ちょっと新鮮さを欠いた魚を食べるとヤバイわけです(笑)
あとは、魚アレルギーよりも症状は軽い場合が多いようですね。
アレルギーと比べて、こちらは新鮮なものを食べるようにしていれば防げることですが、一応覚えておくといいと思います。
みんなが困る魚アレルギー
さて、魚アレルギーについておおかた書いてきましたが…ここで1つあなたに質問です。
魚アレルギー、1番辛いのはどんな人でしょうか?
…それは言うまでもなく「魚が好きな人」ですよね。
もともとアレルギー体質の人、途中で突然アレルギーが発症した人、いずれにせよ魚好きであるのに魚アレルギーになってしまうのは辛いものがあります。。
とはいえ、たとえ魚が好きでなかったとしても。
「栄養豊富な魚」を食べることができないのは不都合なことも多いはずです。
特にその素晴らしい健康効果が注目されているDHA・EPAは、青魚以外に豊富に含む食品はありませんからね。正直困ります。
それでは魚が食べられない魚アレルギーの人はDHA・EPAを摂取する方法はないのでしょうか?
魚を食べる以外にDHA・EPAを摂取する方法
魚が食べられない人は、DHA・EPAサプリメントで不足している栄養成分を補うという方法があります。
「え?でもサプリに魚を使ってるんでしょ?アレルギー大丈夫なの?」
あなたもそう思われたかもしれませんね。その答えは「大丈夫」でもあるし、「注意」でもあります。…どういうこと?(・ω・`;)
先述したように、魚アレルギーは、魚の「パルブアルブミン」(とコラーゲン)というたんぱく質に対してアレルギーが起きるのに対し、DHA・EPAサプリに使われているのは魚油成分で、上記のアレルゲンは除去されているので問題ないという声があります。
しかしその一方、やはり魚アレルギーの人は注意した方がいいという情報もあり、現時点ではっきりとしたことは分かっていません。。
「魚アレルギー」と言っても、上記のパルブアルブミン以外に反応を示している可能性も0ではありませんし、やはり心配な場合は、医師やサプリの販売元に問い合わせてから試したほうがいいでしょう。
魚アレルギーより厄介?アニサキスアレルギーって?
あなたが魚アレルギーだと思っていたものは、じつは「アニサキスアレルギー」かもしれません。アニサキスは魚につく寄生虫です。
正直、アニサキスアレルギーは魚アレルギーよりも厄介です(汗)
多くの魚で発症すると言えども、検査などで「食べられる魚、食べられない魚」のある程度の把握ができる魚アレルギーとは違い、(食べられる魚もあるかもしれない)
アニサキスアレルギーの場合は、寄生する魚(アジ、イワシ、サンマ、サバ、ハマチ、ニシン、イカ、スケソウダラ)のほとんどを食べることができなくなってしまうからです。
アニサキスは魚の内臓に寄生しますが、その鮮度が落ちてくると筋肉のほうに移動するそうです。見た目は数ミリの糸状の線虫で、目で確認することはできますが、その魚に寄生しているか否かを見極めるのは難しいものがあります。
だから寄生していようがいまいが、“寄生している可能性のある魚”は食べることができません。
アニサキス自体は弱く、加熱や冷凍で死滅しますが、死滅してもアレルギー作用に変化はないそうなので、生でも加工されていてもアニサキスがついている魚を食べた場合はアレルギーを発症してしまいます。
アニサキスが寄生する魚をもう一度見てください。
アジ、サンマ、サバ…こちらも魚アレルギーと同じく、日常的によく食べる魚ばかりですよね。一度アレルギーが発症してしまうと、これらの魚を口にすることができなくなってしまうのです…。
魚がそれほど好きではない自分でも、これはかなりきついものがあるのではないかと思ってしまいます。。
ただヤマメ、イワナ、ニジマスなどの川魚には寄生の心配が少ないそうなので、そういった大丈夫な魚を探してみるのも1つの方法。好きな魚が1つでも食べられたらいいですよね。
最終手段「αリノレン酸」をしっかり摂る
魚好きの人、そして魚に含まれる栄養成分を摂取したい人にとっては辛いものがある魚アレルギー(アニサキスアレルギー)。
しかし、命には変えられません。
軽い症状で済むならまだしもアナフィラキシーショックなど重症になる可能性もあるため、最悪食べることを控える必要も出てくるでしょう。
そこで提案したいのが、その一部が体内でDHA・EPAに変化する「αリノレン酸」の摂取です。
αリノレン酸を多く含むのは「亜麻仁油」や「えごま油」などの植物油。αリノレン酸を含むオメガ3にはアレルギーを緩和する効果も期待できるので一石二鳥かもしれませんね。
当然「魚を食べる楽しみ」を満たすことはできませんが、魚以外でDHA・EPAを摂取できる食品はそうありませんので貴重な摂取源になってくれます。
上手く活用して魚アレルギー対策をしていきましょう。
まとめ
魚アレルギーと、考えられるDHA・EPAの摂取方法についてまとめてみました。
アレルギーは体質によるところが大きいので、自分ではどうしようもないのが辛いですよね…。しかし、状況に応じた「対処法」は必ず存在します。
色々と試していく内に自分に合った方法が見つかるはず。この記事が魚アレルギーに悩むあなたにとって少しでも参考になれば幸いです。