お腹の中で新しい命に栄養を届けて育む妊婦さん。そこには2つの命があります。…ということは?
1人のとき(妊娠していないとき)よりも十分な栄養をしっかり摂る必要があるということです。妊婦さんに必要だと言われている栄養素には色々なものがありますが、その内の1つが必須脂肪酸である「オメガ3」と言われています。
今回は妊娠中におけるオメガ3の摂取についてまとめてみました。
目次
母親の摂る油で産まれてくる赤ちゃんの健康が決まる?
お腹の中の赤ちゃんはお母さんの体から栄養を分けてもらって成長していきます。…ということは、当然お母さんがどんな食事(栄養)を摂っているか?で赤ちゃんの発育の度合いに大きく関わってくるということですね。
その中でもとりわけ重要だと言われているのが「オメガ3脂肪酸」です。
大人にも欠かせないこの脂質は、発育段階にあるお腹の中の赤ちゃんにとってはそれ以上に欠かすことのできないものです。
何故なら著しく成長する赤ちゃんの体にはたくさんの必須脂肪酸が必要となるから。
特に妊娠後期~生後一ヶ月の間ではその後の行末が決まると言っても過言ではない、脳や視神経の発達が著しいので、この時期にはしっかりと良質な脂質を届けてあげる必要があります。
体内では作れずに食事から必ず摂取する必要のある「必須脂肪酸」には、オメガ3の他にリノール酸を代表するオメガ6も含まれますが、オメガ3と違いオメガ6は意識せずとも摂りすぎてしまっている傾向にあるので、意識して摂らなければいけないのは「オメガ3だけ」と思っていいでしょう。
オメガ3が不足していると、産まれてくる赤ちゃんのアレルギーやぜんそくの発症リスクが高まる…という研究結果も出ているようです。
また「不安、イライラ…辛い産後うつ改善には「オメガ3」が必要だった」にも書いているように、産後うつ予防のためにも、お母さんの体にも十分なオメガ3が必要です。
自分の体と大切な赤ちゃん、2つの命の健康を守るためにも妊娠中は特にオメガ3の不足に気をつけるようにしたいところです。
妊娠中の亜麻仁油は「良い」のか「悪い」のか?
これまでの内容を見ると、オメガ3が豊富に含まれる亜麻仁油は妊娠中に「ぜひ摂りたい油」と言うことができると思います。
しかし、どうやら「妊娠中の亜麻仁油はよくない」という声もあるようなんです。実際「控えるように」と指示するお医者さんもいるもよう…。それはどうしてなのでしょうか?
調べてみると、そこには「2つ」の理由があるようでした。
1、酸化した脂質はよくない
1つ目の理由は「酸化した脂質」の問題のようです。「酸化した脂質=過酸化脂質」は年齢性別問わずどんな人にも有害ですが、特にデリケートな状態にある妊娠中には摂るのを控えたいところ。
酸化した脂質は消化に悪く、摂りすぎると下痢などの症状を起こしますし、早産や未熟児出産のリスクが高まる…という声もあります。
亜麻仁油やえごま油、また魚油成分のDHA・EPAなどのオメガ3は酸化しやすいことで有名なので、このような問題が指摘されているようですね。
2、亜麻仁油の「リグナン」に早産の危険性
亜麻仁油には主成分となっているオメガ3の一種であるαリノレン酸の他にも、「リグナン」という女性ホルモンに似た作用をするポリフェノールが含まれています。
このリグナンが腸の動きを活発にしてお腹を刺激することで早産のリスクが高まると言われているようです。(便秘に良いと言われる理由もここにあります)
※追記
あとから調べてみたところ、亜麻仁油には必ずリグナンが含まれているとは限らないことが判明。
むしろ入っている可能性のほうが低いかもしれません^^;
↓でも書いていますが、亜麻リグナンには「良い」「悪い」の両方の意見があるので、心配な場合はかかりつけの医師に相談するなどして、亜麻仁油(たとえばリグナンをアピールしているもの)を摂取するか判断するようにしてください。
1日大さじ1杯程度なら問題なしとの声多数
何事も「よくない」と言われると身構えてしまいますが、妊婦さんの亜麻仁油摂取については「1日大さじ1杯程度なら問題ない」との声が非常に多かったです。
酸化については保管に気をつけることでクリアできそうですし。何より、これは亜麻仁油に限らず他の油にも言えることだと思います。(それに加工食品のほうがずっとその危険性が高そうです…)
そしてリグナンについてですが、実は「リグナンは妊婦に良い」という全く逆の意見を仰るお医者さんもいます…!
リグナンは「エストロゲン」という女性ホルモンに似た作用をすることから、ホルモンバランスを整えてくれる効果が期待できるのだとか。
つまり、この問題については賛否両論あるということですね。
いずれにせよ1つたしかなことは「健康な母体と赤ちゃんの健全な発育にはオメガ3は絶対に必要」ということです。
適量の範囲(1日大さじ1杯程度)なら特に問題は無いとのことなので、どちらを気にするか…と言ったら「不足」のほうを気にしたほうがいいかと思います。
また亜麻仁油などに含まれるαリノレン酸だけでなく、青魚に豊富なDHA・EPAも合わせて、バランス良くオメガ3を摂るようにしましょう。
亜麻仁油が心配ならえごま油を選んでみては?
酸化しやすい点は同じですが、先述した「リグナンの懸念点」が気になるなら、亜麻仁油ではなくえごま油を選ばれてはいかがでしょうか。
亜麻仁油もえごま油もオメガ3(αリノレン酸)の含有量はほぼ同じなので、オメガ3を補う目的ならどちらを選んでもOKです。
またαリノレン酸は体内で一部がDHAやEPAに変化するので、魚が苦手でこれらの健康成分が摂れない場合も油の活用はおすすめです。
油、魚、ときにはサプリメントを利用して、妊娠中や授乳中の自分の体、そして大切な赤ちゃんの健康を守りましょう。
まとめ
妊娠中はオメガ6とオメガ3の脂質のバランスを考えることと、赤ちゃんに送られる栄養のことを常に意識することが大事ですね。
脳や中枢神経系にとってオメガ3は必須の脂肪酸なので、妊婦さんは「不足」に十分注意するようにしましょう。